

以下PDFの内容は、平成17年5月20日、不動産業者多数が集まった研修会で発表した資料、小論です。原文のまま掲載いたします。
早い段階で、2、3日の準備期間で取り急ぎ書いた小論ですので、今の時点では若干の不備、不正確、不適切なところがあります。しかし、基本的な考え方は今なお十分に批判に耐えうるものと思われますので、この問題に一石を投じ、関心のある方々が考える上でたたき台にしていただければ幸いと思い、あえて掲載するものです。
小論の趣旨は、ABCと転々と譲渡された場合、AC間で年月日売買があった旨の登記原因証明情報が添付されて登記申請がなされれば、Bの存在を知らない法務局は受理せざるをえません。そのような登記申請はABC三者の合意がある以上、旧不動産登記法時代と同様に違法ではないと考えてよいのではないか、というものです。しかし、それはあくまで一つの主張で、違法との主張が圧倒的に強い状況下では、とても依頼人に勧められるものではなく、現に、一度もそのような手続きをとっていないことをお断りしておきます。
ちなみに、中間省略登記問題についての解説書「中間省略登記の代替手段と不動産取引」(住宅新報社)の著者である福井秀夫政策研究大学教授も中間省略登記が可能なように解釈変更または法改正を行うべきとの主張を同書で述べていることを付言しておきたいと思います。
なおまた、この問題に対する法務局の対応にも非常に早いものがありました。平成17年9月号の「登記研究」では、「買主の契約上の地位譲渡」を原因とする直接移転登記を認めるとともに登記原因証明情報の記載の仕方に言及しております(同書207ページ以下)。また、同書211ページ以下では、第三者のためにする契約を用いた場合でも、一定の場合には直接移転登記を認めない旨の考え方が示されておりました。早い段階での登記研究のこの内容について、あまり知られていないように見受けられますので、念のためにここでご紹介をしておきます。
それにしても、何とか直接移転登記を行いたいという根強いニーズがあり、テクニカルな方法ーある意味で不自然な方法を用いればそれと同じ結果が得られるのです。そうであれば、直接移転登記を認める弊害を除去しつつ、そのニーズに真正面から応える必要性があると考えますがいかがでしょうか。「真正な登記名義の回復」を認めたように、例えば「中間省略登記合意」なる登記原因を認めたらどうでしょうか。
この点で、参考になるのは香川保一元最高裁判所判事・元法務省民事局長の見解であり、小論の趣旨とほぼ同じものです。「中間省略登記の代替手段と不動産取引」(住宅新報社100ページ)から抜粋引用しておくことにします。
「香川先生の結論は『中間省略登記は三者の合意があれば可能』とのことで、手続き的には、『AC間で売買したとの証書を付けて申請すればよい』というものである・・・AC間で売買したとの証書は、三者の合意があればそのような実体が作られるので虚偽にはならないという考え方である」